ミッカのこと
壁一面に広がるエネルギッシュな本
その先に広がる想像の宇宙
ゆったりくつろぐことのできるソファ
隠れ家のような小部屋
見たこともない本に夢中になるかもしれません
たくさんの画材に刺激されて絵を描きたくなるかもしれません
不思議な素材に感化されて工作がしたくなるかもしれません
何もしたくないかもしれません
読んでミッカ
やってミッカ
今日はイッカ
思わず心が踊りだすような
豊かな時間が積み重なっていきますように。
一風変わったライブラリーで
心が赴くままに
どうぞ、お好きにお過ごしください。
ミッカは、葛飾・亀有駅前にある子どものためのライブラリー施設です。
一般的な図書館とは異なり、公共と民間がチームになって、新しい公的空間づくりに挑戦していることが大きな特徴のひとつ。
館内には、国内外から集めた絵と言葉の本が数多く並び、色とりどりの画材やおもちゃが揃い、読み聞かせや音楽などのパフォーマンスも行われています。
大人だけでは入ることができず、本の貸し出しは行っていません。
本に囲まれて自由気ままに過ごし、さまざまな作品や人、モノゴトが、子どもたちの探求や発見をそっと応援してくれるような場所。
それがミッカなのです。
ミッカのあれこれ
ミッカの出発点には、そんな想いがあります。
私たちが目指したのは、ありのままに子どもを尊重する日常の場です。
学校でもインターネットの中でもなく、何も求められず、ただその場に居ることができる。
そうした余白は子どもの想像力を解放して、“自分自身”を育むベースとなります。
特に公的な空間には、長い時間軸で余白を許容できる魅力があり、さらに公共と民間が連携することで、これまでにないパブリックに挑戦できると考えました。
そこから子どものためのライブラリー構想が始まったのです。
多くの人の想いも加わり、約5年をかけて「絵と言葉のライブラリー ミッカ」は誕生しました。
・誰かのものさしによる“正解”がなく、想像力を解放してくれること
・子ども向けにつくられた作品に限らないこと
・絵と言葉で構成され、作家性が伝わるもの
この基準のもと、世界中から本を厳選。毎月オリジナルのテーマで特集を組み、本との偶発的な出会いが生まれるよう本棚を編集しています。
さらに、特別な空間の中でいつでも作品を味わってほしいという思いから本の貸し出しをやめて、紙や色の感覚なども余すことなく楽しめるよう、フィルムコートもなくしています。
中には児童書ではないものも。けれど、子どもたちは“理解”を超えて、もっと感覚的に本の世界を旅しているようです。
中心には往年の映画館を思わせるレッドルームがあり、それを取り囲むようにたくさんの小さなスペースがゆるやかに繋がっています。
色鉛筆や絵の具、多様な素材が並ぶアトリエ。
光が差し込み、リビングさながら寛ぐことができる大きなソファ。
思わずこもりたくなる秘密基地のような部屋。
展示も行われるグリーンルームには深みのある色が使われ、しんとした空気が流れます。
子どもたちは、好きな場所を自由に行き来しながら過ごします。それを邪魔することのないよう、館内に禁止サインはありません。
おおらかな空間は、想像/創造力を応援する手助けにもなっているのです。
それはミッカを画一的なサービスを提供する場所ではなく、人の主体性や表現と共にある場だと考えているからです。
例えば、子どもたちが「角部屋で恋愛相談所をやりたい」と言ったことがあります。
私たちの役割は「他にも部屋を使いたい子がいたらどうする?」と懸念点を尋ねたり相談に乗ること。すると「時間を限定する」「その子も仲間にする」など、自分たちで解決策を考えて開催していきます。
あくまでも何をしたいのか考え、動くのは子どもたち。
私たちは、そうした日々の表現に関心を向け、応援することが大切だと考えています。
そこに登場するのは、絵本作家、落語家、お笑い芸人、デザイナー、ミュージシャンなど、表現活動をする皆さん。
子どもたちは、彼らを非日常の中の特別な人としてではなく、ミッカという日常で当たり前に出会い、話し、一緒に遊び、その存在を丸ごと体感します。
幼少期のこうした経験や感覚は、きっと身体と心のどこかにタネのように残るのではないかと考えています。
そのタネは、芽吹いても芽吹かなくても大丈夫。
私たちはこんなタネまきのような探究の日々を、子どもたちと一緒に大切に積み重ねていきたいと思っています。
スタッフ紹介
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- キクチ
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- ミッカの好きなところ
- “表現”の世界を案内する、ユーモアのある大人たち。好奇心をくすぐる出会いがあるかもしれません。
- お気に入りの絵本
- ねむりどり(作:イザベル・シムレール)
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- ツカダ
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- ミッカの好きなところ
- えんじ色のカーテンと金色の天井が印象的なレッドルーム。様々なパフォーマンスが行われています。
- お気に入りの絵本
- 夏のルール(作: ショーン・タン 訳: 岸本 佐知子)
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- スギモリ
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- ミッカの好きなところ
- ズラッと並ぶ色鉛筆や絵の具、珍しい色や素材にも触れて、自由に表現できるアトリエです。
- お気に入りの絵本
- まほうのえのぐ(作:林 明子)
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- カスカワ
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- ミッカの好きなところ
- 絵本、工作、お絵かき、自分が夢中になることが隠れている場所。心弾む瞬間を探しに来てみてください。
- お気に入りの絵本
- Someday(作:アリスン・マギー 絵:ピーター・レイノルズ)
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- ヒガシノ
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- ミッカの好きなところ
- 壁一面の本棚、ふかふかのソファに秘密の小部屋。わくわくする空間がたくさんあるところです。
- お気に入りの絵本
- しりたがりやのちいさな魚のお話(作・絵:エルサ・ベスコフ)
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- ハマノ
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- ミッカの好きなところ
- ミッカのスタッフが選んだ色々なテーマの本が並ぶ特集本棚。気になる本が見つかるかもしれません。
- お気に入りの絵本
- やっぱりおおかみ(作・絵:ささき まき)
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- ヤマモト(フ)
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- ミッカの好きなところ
- ゴロゴロしたり、チョキチョキしたり、本をパラパラしたり。自分だけの“やってミッカ”がミツカることです。
- お気に入りの絵本
- アンジュール ある犬の物語(作:ガブリエル・バンサン)
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- タナカ
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- ミッカの好きなところ
- 世界中から集めた絵と言葉の本がずらりと並ぶ本棚。お気に入りの一冊にきっと出会えると思います。
- お気に入りの絵本
- こんとあき(作:林 明子)
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- ゴトウ
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- ミッカの好きなところ
- 多様なバックグラウンドを持つミッカのスタッフ。それぞれの表現の幅広さが、創造力を後押ししてくれます。
- お気に入りの絵本
- 怪物園(作・画:junaida)
ピープル ミッカを一緒につくってくれたみなさん
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- Tone&Matter 総合プロデュース
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プロジェクトデザイン会社。新しい仕組みの構築を得意とし、ホテルCLASKA、THE BAYS、渋谷キャストなど様々な施設をプロデュース。
http://www.toneandmatter.com/
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POINT
長岡勉/藤田尚子
建築デザイン -
小さなプロダクトから家具、住宅など空間と関わるものを幅広くデザイン。キッズデザインアワード入賞、JCDアワード金賞等受賞多数。
http://point-tokyo.jp
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POINT
長岡勉/藤田尚子
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大日本タイポ組合
秀親/塚田哲也
グラフィックデザイン -
秀親と塚田哲也の2人で1993年に結成。日本語やアルファベットなどの文字を解体し、組合せ、再構築することによって、新しい文字の概念を探る実験的タイポグラフィ集団。
http://dainippon.type.org/
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大日本タイポ組合
秀親/塚田哲也
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- メリンダ・パイノ テキスタイルデザイン
- メルボルン・ヴィクトリア大学で絵と陶芸について学んだ後、ロイヤルメルボルン工科大学テキスタイル制作学科でテキスタイルデザインを学ぶ。mina perhonen在勤を経て、現在フリーランスのデザイナーにしてフルタイムのママ。
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- 人見 愛子 刺繍
- 和装小物メーカー、アパレルメーカー、刺しゅう工場勤務を経て、刺しゅう機メーカーのセールスエンジニアとなる。現在は刺繍を中心に、繊維に関するエンジニアアドバイザーとして活動している。
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- REPUBLICA WEBデザイン
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デザインを軸として、コンセプトワーク、インテリア、ウェブ、グラフィックなど事業開発、運営に必要な物作りのサポートををおこなっている。
https://republica.jp/
一部写真:Untitled (A Small Library for Children #50–1020), 2021 © Gottingham
Image courtesy of Treq and Studio Xxingham