
作:アストリッド・リンドグレーン
絵:キティ・クローザー
訳:ふしみ みさを
出版社:講談社
みなさんは、トムテを知っていますか?
北欧に伝わる小さな妖精で、スウェーデンのサンタクロースともいわれ、農家を守る赤い帽子をかぶったこびとです。
冬の真夜中、だれもがねしずまる雪にとざされた農場で、たったひとり起きているものがいます。
こびとです。
牛小屋、馬小屋、ひつじ小屋、とり小屋、犬小屋、大人が眠っている部屋、子ども部屋…
毎晩、小屋から小屋へと足音をしのばせて、みんなをみまわり語りかけます。
耳にはきこえない、そのことば。
こびとは何と言っているのでしょうか。
あくる朝、雪には小さな足あとがのこっています。
<作者紹介>
●アストリッド・リンドグレーン
1907~2002年。スウェーデンのヴィンメルビューに生まれる。
田園地帯の小さな農場で4人兄弟の長女として、幼い頃から大自然とともに幸福な子ども時代を過ごしたという。1944年『ブリット・マリはただいま幸せ』(徳間書店)で出版社主宰の少女コンテストの二等賞を得てデビュー。
以降、児童書の編集者として働きながら多くの作品を発表し続けた。1945年には、彼女の娘の為に話して聞かせていたという『長くつ下のピッピ』を執筆、以降『やかまし村の子どもたち』『名探偵カッレくん』のシリーズ、『ミオよ、わたしのミオ』『はるかな国の兄弟』(以上岩波書店)など、彼女が生み出した世界中で愛されている物語は130作品以上にのぼり、「こどもの本の女王」と呼ばれた。