おすすめしたスタッフ:カスカワ
よるのおと
作:たむら しげる
出版社:偕成社
男の子が池のほとりを歩いて、おじいさんの家に向かいます。
「こんばんは、おじいちゃん」と発するまでの数秒間の出来事。
その静かな夜の一瞬のようすが、透明感のある深いブルーの色彩の中、
小さなオノマトペだけで表現されている絵本です。
空にはお月さま、虫の小さな鳴き声。
水を飲むシカの親子の水音。
獲物を待ち構えるカエルの鳴き声。
遠くを走る列車の汽笛。
いつもなら、目にも耳にも入らないようなささやかな出来事に
ページをめくりながら、どんどん引き込まれていきます。
静寂の中、この瞬間にも命は巡っているのだと気付かされる一冊です。
どうぞ、手にとってページを開いてみてください。
<作者紹介>
●たむらしげる
1949年 東京生まれ。桑沢デザイン研究所終了。
独特の詩情とユーモアのある世界をジャンルを越えて発表している。
作品に「アリとすいか」「おばけのコンサート」「ゆき ゆき ゆき」などがある。
▷超福祉絵本展「文字のない世界へ」でも紹介しております。